櫛田神社祇園大祭

日本三大祇園山笠の雄と称えられ、全国にも名声高いこの博多祇園山笠が、博多総鎮守・櫛田神社の一大神事として年々豪華絢爛その盛観を極めつつある事は、一に全市民の氏神様に対する強い信仰と敬虔な祈りの表現であり、筑前博多に伝わる唯一の肉体鍛錬の場として、病魔退散を願う博多っ子の一大レクレーションでもあるからと言われている。

7月15日未明。暁をついて繰り広げられる追い山笠の奉納行事は、熟練した技術と一致団結した呼吸とが最も大切だとされている。

ここに自治を尊ぶ心意気と、伝統を守るおおらかな精神を持つ博多っ子を見る事ができる。けだし博多祇園山笠は庶民生活の中の祭典といえよう。

7月1日から14日の深夜まで公開される「飾り山笠」は、街の区割りにより10本余りが立つが、約16mの高さいっぱいに軍事や戯曲、史実や伝説、あるいはお伽話から取材した金殿玉楼、美姫、勇士等を配置した豪華絢爛な飾り山笠で、博多人形師描き出す夢幻の世界の具現であり、錦絵巻の立体化でもある。

明治も中頃、今までの高さと偉容を誇った山笠も、博多の町々に電灯が配線されるにつれ、次第に低くなり、明治43年市内電車が開通して架線が張られてからは徹底的に低くなり、只今では飾ったままの高い「飾り山笠」と、勇壮豪快に舁き廻る低い「舁き山笠」と大きく二つに分かれる様になり、一連の山笠行事に一層の華麗さとアクセントをつけて益々盛んになっている。

又、その伝統の保持、格調の維持には特に注意が払われ、折り目、角ど目がその都度厳格に守られて、一糸乱れぬ統制によって山笠は動いている。

国・重要無形民俗文化財指定(昭和54年2月3日)