実践山笠入門編
舁き方の基本
山笠の長い歴史で生みだしたテクニックは、あらゆる場合の危険を想定し経験した上での 結果です。この点を充分に理解して、一日も早く、基本の姿を体得して下さい。
舁き縄をグッと握り、アゴを引き、腰を入れて担いましょう。
水の掛け方
勢水は頭から 山笠は驀走する重戦車です。もの凄いエネルギーを消費します。舁き手は常時オーバーヒート一歩手前。 そこで大事な物が、「勢い水」という冷却水です。炎天下、冷却水無しで、山笠はどれ程 走れるでしょうか。頭はカッカ、心臓ドキドキ、足元ヨロヨロ。たちまちエンスト状態です。
しかし、そこに山笠の面白味があるのです。行動する山笠集団と見物者市民との間を 「一杯のバケツの水」が結びます。その水で、あなたも山笠の一員です。真っ青な夏空目がけて 勢い良く高々と水を掛けて下さい。山笠は期待に応えて驀進します。
◎水を掛ける時、鼻取りや台上りの顔面を直撃しないように注意しましょう。水は高い所から 低い方へ落ちます。高く撒き上げた水は、まず、ハチ巻を濡らし、人間の司令室、頭を冷やします。 続いてエンジンである心臓を肩から背中へ流れて冷やします。
そして最後に、車軸車輪に相当する 脚を冷やすのです。また、舁き手ばかりではありません。山笠の台は金釘を使用せずに組み合わせ、荒縄とロープで固定しています。その為に、乾燥が最も怖いので常時、水分保持が必要です。
更に山台脚部には鉄沓が地面と擦れ高熱をもち、驚く程の勢いで摩耗します。山笠にとって 「勢い水」は、担う人や押す人ばかりではなく山笠の台にとっても重要なのです。
転倒者の助け方
山笠の事故は恐ろしいものです。繰り返し何度もこの点を強調するのは、「山笠の舁き方」の全てが、 楽しい夏祭りを盛り上げる為に、細心の注意をはらって「安全」を心掛けているからです。
※転倒する事が多いのは、交代時の足もつれ。後押しの際の足もつれ。
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[su_column size=”1/4″] ※転倒者救出法[/su_column]
[su_column size=”3/4″] 山笠周辺 身近の人が転んだ人の〆込みを掴んで引き起こす。
(法被でも良いが、前裾の結びが解けていたりすると、 後ろから羽交いじめの様な形になって、両腕の動きを押さえることもあり、また、濡れた腕を 掴むのは滑り易い)
転倒者を助けようとしての二重転倒。その他群集に押し倒されたり、近頃は道路が整備舗装されているので 体の動きを変えようとして足が滑る事が多くなりました。
(濡れた舗装道路で不用意な方向転換を すると、軸足に力を入れた瞬間、天地逆転です。最も用心する場所です。)[/su_column]
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転倒者の助け方・直前と後部
山笠表棒鼻での転倒程恐ろしいものはない。一、二番棒直前の際は、棒鼻を担う者が、ラグビーにおけるスクラム・センターが球を掻き出し、そこを近くの人が引き起こす。
その為にも舁き手は常時顎を引き、目線を進行道路面二、三メートル先におくことが重要。----- 片手でシッカリ棒に掛けた舁縄を掴みグッと腰を落とし、〆込みを掴み引き起こす説もあるが、疾走する山笠のパワーから考えてなかなか困難である。
三番棒直前は、もうお手上げ、万事休す。前さばきと鼻取りとで、緊急停止の合図をおくり山笠を止める以外にない。最悪の場合転倒者が山台の下敷きになるからである。上を向き「へ」の字にしがみつけと言うが、簡単に誰でも勧められるものではない。これは見送り台下の場合も同様で全くお手上げである。後続する後押し集団の地下足袋が待ちかまえているようなものである。見送り鼻取りが緊急停止の合図を発することだ。
しかし、後部からの緊急停止は難しい。
棒鼻での場合は、後押し数名が将棋倒しに重なるが、山笠そのものは前進続行。転倒者周辺の人達で助け起こす。