「しきたり」のひとつ

「舁き山笠」の山笠台(台座)には、櫛田宮の紋などが染め抜かれた台幕が張られている。山笠を山小屋に安置している間は朱色、書き出す時は紺色と、その都度張り替えられる。ずっと置かれたままの「飾り山笠」の台座は朱色である。

台座の下覗くと、提げられた小さな升がある。中には、安全を願って箱崎浜から取ってきた「お汐井」(清めの海砂)が入っている。無事を祈った「しきたり」のひとつ。

追善山

前年の祭りの後から、その年の祭り前までに亡くなった流れの功労者を弔うもの。追善山を受ける遺族は、家の前に祭壇を作り、故人の写真のほか供物を置いて、そろって山笠が来るのをまつ。

遺族宅へ山笠が着くと、全員はちまきと取って一礼。次いで山笠を前後に揺すりながら「博多祝い唄」を唱和するのだ。終わると、用意されたおみきをひっかけ「ワーッ」と再びかきだす。先人と伝統を敬う心意気が伺えます。

写真:博多人形師 井上和彦さんの追善山模様